医院の新築や新装については、テナントビルで住宅とは切り離して開業される先生方が多く、私たちKJ WORKSでも、住宅併設の医院建築はなかなかお目にかかることはありません。OMソーラーシステムを採用した医院や施設への取り組みは、私たちKJ WORKSがこの10年間で身に着けた自然エネルギー活用の集大成に出来る場でもあるのですが、その依頼はあまり多くありません。
例えば1階に医院を設けて2階に自宅を考える場合、空間利用の考え方が上下階で全く異なり、木造建築にとって重要な構造の整合性が一致しがたく、最終合意までいかないのが常なのです。ところが、今回、堺市の西機さんから木造の建物で1階に小児科医院を新設し、1階の一部と2階をご自宅にするお話を頂いたのです。
OMにしきこどもクリニック(住宅併設)について下記に概要をご説明してみます。
心材と辺材
心材は中心から辺材までの部分で通常濃色、辺材は外周に近い淡色の木質部分。
杢
渦を巻いたり、ねじれの生きた木目。
節ではない。
ガムストリーク
チェリー特有の金筋に似た木目に沿って入る変色。日本では脂壷と言われている。
ミネラルストリーク(金筋)
一般に木目に沿って走る、
淡緑色から濃褐色など様々な色の変色。
入り皮
木目樹皮が入り込んでいるもの。
バーズペック(Birds Pecks)
鳥がつついたために木目に小さくキズが入ったもの。入り皮になっている場合もある。ヒッコリーとエルムでは欠点とみなさない。
干割れ
乾燥工程で乾燥が適切に
行われなった場合に生じる。
くされ
菌類によって木質が劣化すること。
辺材の変色が目印。
節
木目が円を形成していて髄がある。
大枝や小枝が幹から出ていた所。
(節穴になっている場合もある)
生き節
木質が劣化がまったく見られない、
しっかりとした節。
今年から着工します「OMにしきこどもクリニック(住宅併設)」新築工事ですが、まず、その形を簡単な模型でご紹介します。道路に面します「こどもクリニック」らしからぬ窓や壁などの雰囲気などにつきましては、今後、西機さんや関係者で熱戦?で形づくられて行く事となりますので、この模型は完全ではない事をあらかじめお知らせしておきます。 PART-1でお話ししましたように、木造住宅での医院と住宅の併設は中々構造的に納まりが難しいのですが、西機さんご夫妻の理解ある家づくりへの対応と確かな診療所としての豊富な知識で、私たちKJ WORKSの設計プランも上手く導かれて自然体な建物となって表現できました。
全面道路の北東から眺めた建物の姿です。赤い「人形」の正面が医院のメイン入口、手前がサブ入口、建物手前左側が自宅の玄関となります。
建物の南西方向から眺めた西機さんの家の全景です。正面1階がにしきこどもクリニックで、手前右の1階部分と2階が住居スペースとなります。 2階には大きなバルコニーがあり、春から秋にかけて美味しいバーベキュー料理を食したり、 ビアガーデンになったりと楽しみが想像できます。 もちろん、1階&2階ともOMソーラーの家づくりです。
このホームページ上で建物の模型をお見せしてから1ヶ月が経ってしまいました。この場所には最近まで住んでおられた方のお屋敷があって、その建物や外部の工作物などの解体撤去に1月13日から約2週間かかり ました。社会的な環境問題が取り沙汰される現在、廃棄物処理で最大の比重を占める建物解体には特に、マニフェストによる厳しい分別解体処理が問われ、昔のように簡単に壊す事は出来ません。
建物解体工事後の1月23日、建築確認申請に基づく建物予定場所の地盤調査を第三者の建物保証機関に依頼して行いました。この地域は大阪湾に近く軟弱地盤を気にしていたのですが、結果は意外にも結構丈夫な地盤で、ベタ基礎工事であれば問題なしとの評価でした。当然、KJ WORKSの家づくりは、今回のOMソーラーの家でなくてもベタ基礎が標準ですので安心です。
1月31日には建物の形とその位置を地面に表す「地縄」という作業を行い、少し間を置き(地盤改良の可能性を考え1週間余裕を持っていたのですが・・・)2月7日(土)には、アメリカ広葉樹輸出協会のご協力で建築雑誌「カーサウェスト」の取材班もビデオやカメラを回す状況での起工式が行われました。一般的には、地鎮祭と呼ばれるのですが、西機さんはクリスチャンですので神様が違うのです!
そして、現在、基礎工事が始まり、阿蘇小国の木材は加工場で刻まれており、3月2日の建て方へと現場は進んでいます。
以前あった建物やブロック塀も撤去され、敷地の形状が現われてきました。解体工事に着手して10日目です。右奥に見えるのが、堺大浜キリスト教会です。西機さんはこの教会へ毎週日曜日に礼拝に通っておられます。
敷地が綺麗に整地され、解体工事完了です。
1月31日には、「地縄」を行いました。白い線が建物の輪郭です。
堺大浜キリスト教会の神父さんによる祝辞と講話が続く中、賛美歌を参加者全員で歌いました。
この場面を含め、この日から取材のビデオやカメラが回ります。完成後の雑誌への掲載につきましては、再度お伝えします。
[2/9.月]基礎工事の開始です。
まずは、主に建物基礎の周囲にある地中梁周りの掘り方から作業が始まりました。
今日(3月6日)は、午後4時から上棟式です。西機さんが信仰されるキリスト教には、そのような行事は見当たりませんので、棟上された建物の1階に特設パーティー会場?を設けて前回の起工式同様、始めに神父さんから祝辞とお祈りを頂きました。その後、主役である西機さんが会場の皆さんへお祝いの言葉をお話され、一般に言います上棟式後の「直会・なおらい=自己紹介を兼ねた食事会?」での乾杯の挨拶をコーヒー片手に私が行いました。会場の皆さんもコーヒーや紅茶、ジュースを片手に私の音頭で『乾杯〜〜〜!』その後は、西機さんにご用意していただいたお菓子やケーキなどを食べながらの「わいわいがやがや?」の雑談です。途中、KJ WORKSの大工棟梁を始めとした職方と担当社員の紹介、そして西機さんご家族の紹介・・・・・・・その頃には、職方や西機さんご家族も打ち解けて、会話も弾んでいました。
この両者の自己紹介(打ち解けること)によって、西機さんのご家族が今後、現場へ来られた時にも気軽に話ができて何の気兼ねも無く建物の状況を確認する事ができるのです。そういった意味では「直会」を含む上棟式は仏教やキリスト教というような宗教に関係なく「大事な行事」に思います。
[2/25.水] 基礎の型枠を取り外しているところです。
ようやく、コンクリート型枠の取り外しも完了しました。
[3/3.水] 建て方2日目です。初日は墨だし(土台取付けの寸法出し)と桧の土台付で終了し、今日は柱から取付けです。
2階床の梁桁が取付けられました。
[3/3.水] 朝からの建て方2日目も急ピッチで進みます。屋根パネルを上に上げるところです。
2階天井の梁桁が取付けられました。
[3/6.土] 建て方開始から5日目
屋根には屋根パネルと遮音を兼ねた防水シートが張られ、壁開口部には、壁パネルも取付けられて行きます。
建物東側の表情です。左端手前の開口部辺りから住宅への入口が出来ます。壁パネルの表面は、ホルムアルデヒド値0のカナダ産OSBボードです。
道路北西側から見た建物の表情です。右端のでっぱり部分?が、こどもクリニックへの入口となります。
1階内部の軸組みの状況です。
2階住宅部分の軸組みです。北側の勾配天井部分には天窓の為の開口が2箇所用意されています。
上棟式パーティーの用意が出来上がりました。
神父さんのお祈りと祝辞の後に、施主さんの西機さんからお祝いの挨拶が始まりました。
前回の起工式では、緊急の重症患者さん診察の為に挨拶に間に合わなかったのですが、今回は無事ご挨拶していただけました。
私から(左正面)乾杯の音頭をとるところです。この日も、住宅雑誌「カーサウェスト」から取材カメラマンの方が来られていました。
お祝い事とはいえ、飲酒の出来なくなった近頃ですが、コーヒーや紅茶でも結構、雑談も盛り上がるものです。
アメリカからのキャラクターマーク付き広葉樹の木材が届くのを待って「にしきこどもクリニック」の話を、お知らせしようと思っていたのですが、4月下旬ぐらいにしか製材所には届きそうに有りませんので、現状の建物進捗状況をお知らせいたします。(3月29日から4月6日までです)
4月21日(水)には、朝から西機さんや阪口製材所の社長、アメリカ広葉樹輸出協会日本代表の辻さん等と一緒に南港に入荷した原板を確認して見る予定ですので、その内容は次回ご報告と致します。
2階床下地は、最近巷で多く使われるようになったJパネル(信州唐松)です。
1階への防音を目的にJパネルの上に遮音マットを敷きます。
屋根の板金工事も出来てきました。上部のブルーシート部分には、OM集熱ガラスが設置されます。
2階のユニットバスの設置も始まりました。
外部の窓廻りには、万が一の雨水の流入を完璧に防ぐ意味で、防水テープを取り付けます。
2階の遮音された床の上には、OMの床を作る為に、気密フィルムと断熱材を設置します。フリーフロア(2重床の下地)の脚が取付け中です。
蓄熱パックを床下に配置しました。その上には、床が取り付けられます。見えている横桟木はその下地材です。
4月21日(水)朝からアメリカ広葉樹輸出協会主催の「アメリカ広葉樹エコ・インテリア・ハウジング・プロジェクト」として、KJ WORKSで建築中の『OMにしきこどもクリニック(住宅併設)』関係者により南港へ入港した広葉樹の原板(6種類)確認に行きました。その後、フリーディスカッションを含めた懇談会をハイアット・リージェンシー大阪で開催しました。
この催しには施主さんである西機さんを始めKJ WORKSからは私と設計の山口、加工で協力を頂く阪口製材所の阪口社長、家具職人さん、協会の辻さん、アメリカ側のピーター・キングさん、輸入元の4社、取材関係者としてはカーサウェストでお馴染みのホットキューブの伊東社長、日経新聞、日本工業新聞社、カメラマンなど多数の参加となりました。
輸入商社の倉庫で、届いた広葉樹の原板を確認しています。手前左がピーター・キング氏、正面左が施主さんの西機さん
左から辻さん、?、ピーター・キング氏、西機さん、福井
ホテルでのフリー・ディスカッションです。
西機さんから、小児科医として医院を含めた室内環境についてのあるべき形などを報告していただきました。
私からは住宅の内装についての話と建築業界の設計士や工務店の木を知らな無さ過ぎる体たらくについて報告しました。
5月13日、朝からアメリカ広葉樹輸出協会から届いた各種の広葉樹の原材料を床材や壁、天井材に加工指示する打合せと、カーサウェストからの取材をかねて吉野の製材所を訪れました。普段は針葉樹がメインの加工機械ですので、硬い材料に刃物が傷んでしまうのではと、心配しながらのプレーナーやサンダー仕上げ、実加工などでしたが、何とか問題なくなりそうな気配でほっとしました。この加工を終えて、今月末頃から「にしきこどもクリニック」の床や天井、壁、カウンターなどにその広葉樹の材料が使用されます。
レッドアルダーの床材の、実加工の様子です。日本名で言いますと「はんの木」です。
手前に積み上げているものは、イエローバーチという床材ですが、日本名では樺科の種類です。
実加工前の広葉樹材料です。右から左へ2枚がホワイトアッシュ(日本名:タモ材)その左の2枚がチェリー(日本名でサクラ材)、右端がイエローバーチ(日本名で樺科)です。どれもこれもよく似ています。針葉樹慣れした人には中々わからない材料です。
製材所の人やアメリカ広葉樹輸出協会の辻さんをはじめKJ WORKSのスタッフが集まって材料取りの再確認です。無償提供材とはいえ、結構寸法がまちまちでさすがアメリカです?
吉野町の阪口製材所にてアメリカ広葉樹材を加工しているところまでが前回の報告でしたが、今回はいよいよ、その加工材が1階クリニックの床や壁、天井に張られてゆく状況報告です。写真では中々上手くお伝えする事は難しいのですが、感覚的にご覧いただければ助かります。
また、2階住宅部分につきましては、今現在は、手づくりキッチンや家具の取付けに入っている状況で、設備機器の取付けや仕上げ待ちの状態です。
[6/10.木]現在、養生シートも取り外せる状態になっています。
1階こどもクリニック内部では、棟梁の木谷さんが加工された暑さ19mmのイエローバーチ(樺の一種)を丁寧に床に張り付けています。無垢の木材ですので、接着材を使用するとその木材の呼吸によって、床材が割れてしまいますので、本実からの隠し釘で固定します。
アメリカ広葉樹の床材は固いし、暴れもあるかと心配していたのですが、加工の時ほど心配する事もなく、問題なく「スイスイ」と貼れていきました。WAXもしていないのに、光沢のある素晴らしい表情です。
今度は、待合や診察室などの壁の腰板を施工しています。腰板ですから厚みはせいぜい、12mmで良いのですが、床と同じく19mmもあるんです。材種はホワイトアッシュといい日本名でタモです。
2階は、既に造作工事は完了しています。床材は養生で隠れていますが、信州唐松材です。この床下には、木造の2重床にして、断熱を施した上に、シリカゲルを利用した蓄熱パックを採用したOMソーラーの家となっています。
ようやく、外部の養生シートもはずれ、内部の大工仕事も完了して、大工は外の板塀の仕事に取り掛かっております。内部は塗装工事や左官仕事も終わり、美装屋さんが掃除の真っ最中でした。
あとは、8月9日(月)からの、内部の未晒し蜜ロウワックス仕事を残すのみです。もちろん外部は、今から大忙しで、植栽や外構工事をはじめ、こどもクリニックの看板も17日ごろには取付の予定をしております。
19日(木)はアメリカ広葉樹輸出協会主催の建築関係者による見学会が開催され、20日(金)21日(土)22日(日)の3日間はKJ WORKSによる『にしきこどもクリニック(併設住宅)』の建物完成見学会となっています。長いようで本当に短かった医院建築となりました。
外部の足場と養生シートが外れました。表情はいつものKJ WORKSの家そのものなのですが、1階はこどもクリニックなんです。
こどもクリニックに入ると、そこには受付カウンターが有ります。
診察室の収納カウンターと、上部には検尿取り出し口もあります。
2階の家族の間です。正面には対面式のキッチンが見え、左には上部ロフトに上る梯子階段があります。
ようやく、「OMにしきこどもクリニック併設住宅」の建物が完成し、看板も取り付けられました。今年の1月半ばから既存建物の解体工事に着手して、建物基礎工事に取り掛かったのが2月9日。それから半年以上の期間を費やして、8月13日に出来上がりました。お盆をはさんで16日には、西機さんと施主検査をして完成の運びとなったのです。19日(木)まずは、主に医院内に使用した広葉樹材を提供頂いたアメリカ広葉樹輸出協会及び輸入商社他、その関係者へのお披露目見学会が開催されました。
それでは、完成しました建物を見てください。
正面から見た建物の外観です。正面の看板で左端にいるイメージキャラクターはムーミンではありません。院長の西機さんそのもの!なんですから。
同じく、外観を北西の方向から撮影してみました。
にしきこどもクリニックの待合室に入って、受付窓口を眺めてみました。あまり見かけない雰囲気の医院です。
処置室から診察室を眺めてみました。本業は建築屋なのですが、家具屋も同様に本業なのです。KJ WORKSならではのオリジナル家具です。